スクリーボ合同会社 社長
小笠原 玲子
皆さま、はじめまして。この度私ども夫婦は、「書くこと」を主体とした様々な形での「発信」を目的とし、スクリーボ合同会社を設立いたしました。
「スクリーボ」という名前の由来について少々お話しさせてください。かのデカルトは『方法序説』の中で「われ思う、故にわれあり」という有名な命題を提唱しました。同書はフランス語で書かれたものですが、「コギト・エルゴ・スム」(Cogito,ergo sum)というラテン語バージョンをご記憶の方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。この「われ思う」の部分を「われ書く」に替えますと、「スクリーボ・エルゴ・スム」(Scribo,ergo sum)となります。私たち―とりわけ夫小笠原雅則―は、あらゆる形で「書いていくこと」がレゾンデートル(存在意義)であるため、このような社名にいたしました。
つい先日までは一介の主婦であった私ですが、家系をたどりますとペリー来航の年である嘉永6年(1853年)、信州善光寺門前に茶舗を開きました先祖、小笠原平作という者がおります。幕末の動乱期に未来を見据えた彼は士分を捨て、ビジネスの世界に足を踏み入れ、維新後には明治政府の御用達となり大いに栄えました。彼はまた広告宣伝の才にも優れ、今でいうパロディ精神にあふれた七福神(臼でお茶をひく弁財天、お茶をたてる毘沙門天など)の彫刻を店の表看板にしたり、引札として浮世絵を描かせたりしました。それらは当時斬新な「アート」として大きな評判を呼び、現在も歴史的資料として残っています。私の中にもそのような「ビジネス」と「アート」を繋ぐDNAが受け継がれていると信じ、一歩を踏み出しました。
私たちは今幕末と同じ、いえ、それ以上の時代の変わり目におります。このような時にご先祖から頂いた「才」を用い、「スクリーボ合同会社」を舞台に、皆さまのお役に立ち、また楽しんでいただけるような「発信」を続けていこうと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
令和5年8月